カテゴリ
最新の記事
以前の記事
最新のトラックバック
ブログパーツ
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
7月20日の「たね蒔きジャーナル」の
小出裕章助教による解説です メインキャスター(以下「MC」):水野晶子さん コメンテーター:近藤勝重・毎日新聞専門編集委員 ※完全な文字起こしではありません。 また、誤字脱字等、ご了承下さい。 ( )は補足等。 MC:小出さん、こんばんは。 小出氏:こんばんは。 MC:よろしくお願いします。 小出氏:こちらこそ。 MC:そして、東京には近藤さんです。 近藤氏:こんばんは、よろしく、どうも。 小出氏:こんばんは、よろしくお願いします。 MC:まずは、福島第一原発の収束に向けての作業の工程表が 改定されたという所から伺いたいと思います。 現状は、ステップ1で目指していたのが、安定的に冷却をするという事でしたよね。 これが出来たという話のようでございます。 そこでリスナーの方から質問が参りました。 ラジオネーム「変な国だよ日本」さんという方なのですけれども、 (小出氏、失笑) こんなふうにおっしゃっております。 「政府は、原子炉の安定的な冷却を達成したと言っていますけれども、 メルトスルーしてしまった核燃料を どうやって安定的に冷却しているのでしょうか、 教えて下さい」。 小出先生、いかがでしょうか。 小出氏:私も解りません。 MC:小出先生も解らない。 これは、つまりメルトスルーしてしまった核燃料というのは、 格納容器の中にもう核燃料は溶けてメルトしてスルー、 つまり穴から下に落ちてしまったという意味ですよね。 小出氏:そうです。 MC:つまり、もう格納容器の中にないという意味ですよね。 小出氏:ない可能性が高い、と私は思います。 MC:ない可能性が高いと思われる、その核燃料を、 安定的に冷却した事に達成したという事は、 どういう事でしょうか、教えて下さい。 小出氏:あり得ないですね。 MC:そうですよね。 近藤氏:先生、その安定的というのは、どういう意味で使っているのですかね。 小出氏:もともと工程表が出た時には、 冷温停止をさせると言ったのですね。 原子炉圧力容器が健全で、その中に炉心という部分が残っていて、 そこに水を入れながら100℃以下にする、というのが冷温停止という概念で、 循環式の冷却回路を作って何とかそれを達成するというのが、 ロードマップが出来た時の考え方でした。 でも、もちろん私もして欲しいと思いましたけれども、 なかなか難しいだろうな、と思っていましたが、 5月になって東京電力は、炉心は全部溶けてしまっている、と。 圧力容器も穴が開いてしまっている、というふうに認めた訳ですから、 もともと冷温停止などという事は全く出来なくなっているのです。 つまり、もうロードマップ自身が初めから意味を為さないという状態になっている訳で、 その事をまず政府、東京電力が認めて 全面的なやり方の変更という事を言わなければいけなかったと思います。 近藤氏:今、先生、時々廃炉という言葉を聞きますよね。 この廃炉になれば、収束という事は言える訳ですね。 小出氏:廃炉というのは、核燃料を原子炉の中から取り出して、 初めて廃炉というのが出来るというのが・・・ 近藤氏:それが収束ですよね。 小出氏:はい。 (それが)これまでの概念だったのですけれども、 もう原子炉の中に炉心がない訳ですし、 どうすれば、その溶け落ちてしまった核燃料を取り出せるかという事すらが、 全く解りません。 近藤氏:これは、先生、技術的な知識をもっても答えは出せないのですね。 小出氏:1979年にスリーマイル島という所で 炉心が溶けたという事故があったのですが、 その時は、圧力容器そのものは壊れなかったのです、幸いにして。 ですから、原子炉の上の方から圧力容器の蓋を開けてみれば、 溶けてはいたけれども、炉心がそこにあったのです。 ですから、取り出す事も出来たのですけれども・・・ 近藤氏:ただ1機だけだったですかね。 小出氏:1機だけです。 近藤氏:ですよね。 小出氏:でももう既に、今回の場合は溶けた炉心が 圧力容器から下に落ちてしまっている訳ですから、 もうそれを見る事も出来ないし、取り出す事も出来ません。 近藤氏:溶けるというのは、先生、どんな状況になっているのですか。 バターみたいに濡れたような状態になっているのですか。 小出氏:もともとウランというものは、瀬戸物の形で焼き固めてあります。 近藤さん、ちょっと想像してみて頂けますか。 自分の家のお皿でもお茶碗でも良いです。 瀬戸物がドロドロに溶けるという状態ですね。 近藤氏:は~、そういう感じか。 小出氏:要するに、溶岩のように。 近藤氏:なるほど、ああいう感じですね。 小出氏:高温になって、光を発しながら溶け落ちて行くという、 そういう状態です。 MC:すみません、それだったら、炉の下の所を掘って、 溶けているものをスコップで掘り起こすような感じで出して、 土などもセメントなども一緒くたにしてプールに入れたらどうですか。 小出氏:炉の下を掘るという事自身が、物凄い危険だろうと思います。 ですから、私は、もし炉心が地面の中にめり込んでいるのだとすれば、 そのめり込んでいる場所で封印するのが一番良い、 と私は思います。 MC:めり込んでいる場所にもう動かさず、 そのものをセメントなどで封印するという事ですか。 小出氏:はい、そうです。 チェルノブイリの原子力発電所を封印した時もそうですけれども、 溶けた炉心は、チェルノブイリの場合も地下に流れ落ちていました。 そこを含めて全部を石棺という形で封じ込めるという事をやりました。 近藤氏:それが40年経って、そのコンクリートももうボロボロなんでしょ。 小出氏:25年経ってボロボロです。 近藤氏:25年ですか。 小出氏:今また作った石棺を、またもうひとつのもっと大きな石棺で覆って、 放射能が出ないようにしようという工事が始まっています。 近藤氏:そうすると、今の日本のこの状態というのは、 世界的に考えても、もう我々人類初のケースですよね。 小出氏:そうです。 恐らく初めて直面している大変な大惨事ですよ。 近藤氏:それを、ステップ1だの2だの軽々しく言うな、という気がするのですけど。 小出氏:はい、近藤さんがおっしゃる通りです。 私もそう思います。 MC:でも、私などはこのステップ1の目的が達成出来たと言われますと、 細かい事が解らないので、達成出来たという文字だけが、 自分の心に残るのですね。 そういう方はが多いのではないかと思うのですよ。 小出氏:そうですね。 MC:もう達成という文字に物凄く拘っているのではないだろうかと。 近藤氏:そこに、安定などという言葉付くと、 何か本当に皆故郷に帰って来れるのだ、というような印象すらありますよね。 小出氏:そうですね。 でも、皆さんもちゃんと考えて頂きたいと思うけれども、 東京電力と今の日本の政府というのは、 今回の事故を起こした最大の責任者だし、 最大の犯罪者なのですね。 その二人が、何とか事故を小さく見せたいとして、 今、安定化であるとか、ロードマップを達成したとか言っている訳ですけれども、 私から見ると、ちゃんちゃらおかしいし、 そんなものを信用してはいけないと思います。 近藤氏:あの、先生、さはさりとて見通しなのですがね、 どうなのでしょう、その石棺にしろ何にしろ廃炉という事の実現性というのは、 もう日本ではムリですか。 小出氏:出来る、というか、やらなければいけない訳ですし、 それを米国に頼んだり、フランスに頼んだりしたとしても、 やるべき事は同じですので、たいした力にならないと私は思います。 MC:誰が、ではその策を考えて行くのかという事について言いますと、 原子炉の解体は原子力委員会のもとで、 専門家が具体的な方法を検討する、と言うのですけれど。 原子力委員会という事は、あの斑目さんの、まだお辞めにならない、 あの原子力委員会のもとで進めるという事にたいして、 小出先生、見通し・・・ 小出氏:今のままの原子力ムラの体制は全くダメですから、 抜本的に改革しなければいけないと思います。 MC:まず、原子力ムラを改定する事が必要なのですね。 小出氏:はい、そうです。 近藤氏:先生、その体制とかムラとかというレベルではなしに、 技術として不可能なのではないのですか。 小出氏:要するに、人類始まって以来の事に直面している訳で、 本当にどういうやり方が良いのか解らないのですね。 ですから、もちろん米国とかフランスとかイギリスとかロシアとかでも良いですけれども、 そういう所の専門家の知識を借りるという事も、 大切な事だと思います。 ただ、どこの国もやった事のない事ですので、 これだ、という決定的な方策というのは、たぶん出ないだろうと思います。 ひとつひとつやらなければいけないし、 今やるべき事は、例えば、決まっているのですね。 めり込んで行く炉心が、地下水と接触する事を断たなければいけない訳ですから、 私が前から聞いて頂いているように、 地下にバリアーを貼る、地下ダムというような言葉を使われる方もいますけど、 それをやらなければいけないし、 一方で環境の汚染を防ぐために溜まっている汚染水を、 何とか漏れない所に移さないといけないという、 そういう、とにかく緊急にやらなければいけない事を、 ひとつひとつ積み上げて行く。 その先にしか、たぶん方策は見えて来ないと思います。 MC:今おっしゃいました地下ダムという、 地下水に触れないように、汚染水を遮断する壁を作るという話は、 すぐにやる話なのかと、私は思っていたのです。 小出先生が前からおっしゃっていましたよね。 ところが、これ、工程表の中ではステップ3でやるらしいですよね。 小出氏:そうですね。 MC:今から検討に着手するのですよね。 小出氏:そうですね。 MC:考えるという事ですよね。 小出氏:そうです。 あまりにも遅すぎます。 近藤氏:その間、要するに地下に汚水が流れているのでしょう。 小出氏:そうです。 近藤氏:その事を、何も言わないですね。 小出氏:そうです。 近藤氏:それはやはり言わなければいけかんな~。 小出氏:でも、私、この番組でもタンカーという案を、 本当に初期の頃に出したのですけれども、 それも何か検討しているという話は、何度か聞かさせて頂いたけれども、 結局それすらが動かないのですね。 さっきのラジオネームの方、日本の国がなんとかとかいう・・・ MC:「変な国だよ日本」さん。 小出氏:本当に変な国だと思います。 近藤氏:そうすると、今ステップ1が終わるというような事を、 総理大臣も言っていますけれどもね、 それは要するに、窒素を入れて行った、 あるいは大気中に放射性物質が出難くなっている、 というような事で言っている訳ですか。 小出氏:(そ)のようですね。 あまり本質的でない事だけを、何か手柄話のように取り上げているように、 私には聞こえます。 MC:まずは、冷やしても冷やしても。そこに冷やす対象の核燃料が、 もうそこにはないかもしれないという、 ここの大前提を認めないと、工程表全部を変えるという事には ならないでしょうね。 小出氏:そうだと思います。 MC:はい、ありがとうございました。 京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺いました。
by Nixe_ll88
| 2011-07-21 23:03
| 政治・反戦
|
ファン申請 |
||