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7月4日の「たね蒔きジャーナル」の
小出裕章助教による解説です。 毎回YouTubeにアップして頂き心より感謝を申し上げたい。 メインキャスター(以下「MC」):水野晶子さん コメンテーター:平野幸夫・毎日新聞「ほっと兵庫」編集長 ※完全なテキスト化ではありません。 毎度の言い訳、誤字脱字等ご了承下さい。 ( )は補足等 MC:小出さん、こんばんは。 小出氏:こんばんは。 平野氏:こんばんは、よろしくお願いします。 MC:よろしくお願いします。 小出氏:こちらこそ、よろしくお願いします。 MC:まず今ニュースにもございました玄海原発の再稼働について 伺いたいのですが、 再稼働に向けてどんどん話が進んでいるようです。 小出さんの感想を頂けますか。 小出氏:玄海原発が国の方は安全だという訳ですよね。 MC:海江田さんは、安全性について国が責任を持ちます、 というふうにおっしゃいましたね。 小出氏:それで、玄海町も佐賀県も、 まあたぶんOKを出すのだと思いますけれども、 それなら福島原発に対しては国は安全性を保障していなかったのでしょうか。 MC:福島原発に関しては確か地震の確率がゼロなので、 という事だったのではないですか。 小出氏:いずれにしても福島原発はどんな事があっても安全だと、 国が言って来たのですよね。 で、福島県をそれを信じていた訳だし、 地元の住民の人達も皆国が言っているのだから、 大丈夫だろうと思って来たけれども、 やはり事故というのは起きた訳ですよね。 事故というのはそういうものだし、 原子力発電所というのは、事故が起きた時に 途方もない被害が起きてしまうと、 だから私は止めるべきだと思っている訳ですけれども、 国が安全だと言ったから、もう良いです、と 一体どうしてそういう事が自治体の長として言えるのか、 私にはさっぱり解りません。 MC:また、この玄海原発は4号機まであるのですが、 1号機が特に古くて36年、また2号機は30年経っていて、 老朽化でだんだん原子炉がいろいろと問題が生じて来ると言われている、 そうしたら、老朽化の問題の象徴的な存在でもあると聞きました。 小出氏:そうですね。 ただ、敦賀の1号機、あるいは美浜の1号機というのは、 既に41年経っている訳で、 もっともっと老朽化している原発ももちろんある訳ですから、 老朽化という問題だけで言うならば、 玄海が特別悪いという事はないと思います。 MC:ただ、老朽化しますと、これは金属材料学のご専門の 東大の名誉教授で井野(井野博満)さんという先生が おっしゃっている事ですけれども、 この玄海原発の場合は1号機で、圧力容器本体が壊れる可能性が高い、 と指摘していらっしゃるのです。 小出氏:私もそう思います。 MC:これは、どういう事なのか具体的に教えて頂けますか。 小出氏:圧力容器というのは、金属なのですね、要するに鉄で出来ている。 鉄というのは、叩いた所でへこむし、曲げようと思えばある程度曲がるのですね。 そういう意味では、ガラスとは全然違いますよね。 ガラスは叩けば割れるし、曲げようとすれば割れてしまう訳ですけれども、 鉄というものも、中性子という放射線で浴びて行くと、 どんどん脆くなって行くという性質があるのです。 一番初めの鉄自身は、所謂普通の私達の生活している常温と言うのですけれども、 20℃、30℃という所であば、脆くないのですね。 叩いても割れないし、引っ張っても簡単には切れないし、 曲げれば延びるという、そうういうものなのですけれども、 中性子という放射線を浴びて行くと、どんどん脆くなって行きまして、 ガラスに近付いて行きます。 MC:ガラスのような特性に近付いて行く。 小出氏:それが近付いて行く、その温度というのが、 もともとはマイナス何十℃で冷やさなければ、 ガラスのようなものにはならないのですけれども、鉄は。 それが、中性子を浴びると共にガラスのようになってしまう温度が どんどん上がって来るのです。 それで、普通の温度でも鉄自身がガラスのようになってしまうという事で、 今現在、玄海の確か3号炉だったでしょうか、2号炉だったでしょうか、 1号炉だったか、それはちょっとすみません、私は記憶にありませんけれども・・・ MC:すみません、急に質問をしました。 小出氏:そこは90何度という温度で、ガラスのようになってしまうという。 それよりも低い温度なら、もちろんガラスのような性質になってしまうという事で、 普通原子炉が動いている時は、 二百何十℃という温度ですから良いのですけれども、 もし何かトラブルがあって、原子炉を冷やそうとして 冷たい水を入れようとする訳ですよね。 冷やそうとするために外から冷たい水を入れる。 今も福島でやっている事ですけれども、 そういう事をすると、圧力容器と言っている鋼鉄製の容器自身が ガラスのような状態になっている所に、水を入れてしまうという事で、 壊れてしまうという事になる・・・ MC:壊れるというのは、壊れ方がパーンと割れてしまう。 弾けてしまうような、ガラスのパリっと割れてしまう、 あのイメージですか。 小出氏:そうです。 MC:原子炉がパーンと割れるという事は、つまり何を示すのですか。 小出氏:もう、手の打ちようがなくなるという事ですね。 MC:中にある放射性物質、核燃料が全部大気中に一遍に出る、 という事ですか。 小出氏:割れてしまうと、水が抜けてしまう訳で、 原子炉を冷やせなくなくなりますので、 原子炉がもうメルトダウンする事が避けられなくなるという事ですね。 それ以降、どういう挙動を取るかという事は良くまだ解りません。 格納容器が壊れてしまえば、(放射能が)大気中に出て来ますし、 格納容器の底に穴が開けば、(燃料が)地下にめり込んで行くという、 いずれにしても、どういう経路かを通って、 環境に放射能が漏れて行くという事になってしまいます。 平野氏:先生、この同型の加圧水型という原子炉ですね、 福島は今回は沸騰水型のようですけれども、 関西は加圧水型、関電は加圧水型ですよね。 そういう意味では、万一の時には最も怖いタイプの原子炉と、 そういう事が言えるのですかね。 小出氏:そうです。 沸騰水型に比べて、温度も圧力も高いですので、 事故がある時には、進展も早いですし、 圧力容器の健全性というのは、もっと重要だと思います。 MC:こうした、どのタイプかとか、何年経ったらどうなって来るか、 という事は、電力会社も国も解っているのですよね。 小出氏:解っていないと思います。 MC:解っていないですか! 小出氏:というか、要するに原子力というのは、 まだまだ新しい領域の技術なのですね。 1954年に一番初めの商業用の原子力発電所がソ連で動き始めて、 57年に米国のシッピングポートという所で動き始めた。 それから初めて原子力発電というものをやり始めたのですね。 それで一体何年もつのだろうか、と初めから考えた訳ですけれども、 40年だろうな、と思いながら来たのですね。 で、その40年本当にもつかどうかという事を、 原子炉の中に試験片(シケンヘン)というものを入れて・・・ MC:試験片とはどういう字を書くのですか。 小出氏:テストのカケラですね。 それを原子炉の中に入れて、鉄がどれだけガラスに近付いて行くのかという事を ずっと調べながら来ているのです。 それで、当初は40年だと思いながら来た訳ですけれども、 まだ大丈夫ではないかという事で、今寿命を延長しようとして、 米国でもどんどん延長されていますし、 日本でも既に40年を経て、敦賀でも美浜でもまだ動いている という状態なのですね。 でも、それは、安全性を少しずつ食いつぶしながら来ているという事ですから、 私としては止めて欲しいと思いますし、 ガラスにどんどん近付いて来たような圧力容器を持っている原子炉から 止めるべきだと、私は思います。 MC:ドイツやアメリカなどでは、もう廃炉というのですか。 平野氏:この間は、メルケルさんが早く対応を示しましたよね。 小出氏:はい。 MC:(海外では)そういう風に止めて行くという動きがあるのですよね。 小出氏:もちろんあります。 MC:(原子炉が)40年でもまだ大丈夫ではないかと、 試験のカケラから思って、今どんどん延びて行こうとしている。 ただ、それはまだ解らない領域の所に我々は入ろうとしている、 という事が事実ですね。 小出氏:危険性がだんだん上がって来ているという事だけは 確かなのですけれども、 どこまで頑張るかという事で、やろうとしている訳ですね。 MC:たぶんコストの関係とかもいろいろあるのでしょうね。 小出氏:もちろんです。 MC:またそうした面からも語って頂ける機会を作りたいと思います。 どうもありがとうございました。 平野氏:ありがとうございました。 小出氏:ありがとうございました。 MC:京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺いました。
by Nixe_ll88
| 2011-07-05 13:23
| 政治・反戦
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