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6月1日の「たね蒔きジャーナル」の
小出裕章助教による解説です。 メインキャスター(以下「MC」):水野晶子さん コメンテーター:近藤勝重・毎日新聞専門編集委員 ※完全な文字起こしではありません。 また、誤字脱字等、ご了承下さい。 ( )は補足等。 MC:小出さん、こんばんは。 小出氏:こんばんは。 MC:よろしくお願いします。 小出氏:よろしくお願いします。 MC:東京は近藤さんです。 近藤氏:よろしくお願いします。 小出氏:こんばんは、よろしくお願いします。 MC:まず伺いたいのは、IAEA、国際原子力機関の調査団が来日していますよね。 福島第一原発の調査に当たっていて、どういう報告書を出すかという事の まずはその案、もとの案が出されたのです。 その内容を見ていて、私、このIAEAとはどういう組織なのか、 是非小出先生に伺いたいと思いました。 といいますのは、こういうくだりがありまして、 日本政府の対応についてなのです。 「原発周辺での住民の避難を含めた日本政府の対応を、良く組織化されている」 というふうに書いているのですね。 「そういうふうに見るんだ、IAEAは」と思いまして、 これはどう読み取ったらよろしいですか。 小出氏:IAEAという組織は、ふたつの役割を持っています。 ひとつは核兵器が、現在の核兵器保有国以外の国に 拡がらないように監視をするという役目です。 MC:これは解ります。 小出氏:もうひとつは、所謂原子力の平和利用と言われているようなものを、 どんどん拡げるという役割。 MC:拡げるという役割ですか。 例えば、原発をどんどん作って行こうという立場の機関なのですか。 小出氏:そうです。 MC:私は、もっと原発をも取り締まる厳しいチェック機関だと思っていたのです。 小出氏:そうではありません。 原子力というのは、ここでも聞いて頂いたように思うけれども、 核というものと基本的には同じものですので、 原子力をやりながら実際には裏で核をやっていた、という事を、 監視するという事はもちろんIAEAの役目ですけれども、 それを監視しながらも、あちこちで原子力をやらせて、 米国ほかの国が金儲けをするという、 それを担保するための組織です。 MC:ある種の、言い訳的な、国際的な気持ちが集まって、 こういう機関に繋がっているのですね。 小出氏:そうですね。 もともと原子力というのは、核と切り離せないものなので、 国際的な政治の中でもなかなかかじ取りが難しかった訳ですけれども、 IAEAという組織もふたつの顔を持ちながら、 上手くバランスが取れないか、と考えながらやって来ている訳です。 近藤氏:先生ね、平和利用を拡げるという観点から考えても、 そうだとすると、尚更こういう事故を起こすとまずいですよね。 小出氏:もちろん、まずいです。 近藤氏:やはり、ドイツのように脱原発への動きを強めた国も現にある訳で、 そうすると、この今伝えられている素案を内容を、 少し厳しさが足らないのではないか、と私は思うのですが、 平和利用の観点からでも、何かもう少し言うべき事を言った方が 良いのではないですかね。 小出氏:もちろんそうですけれども、今のIAEAの事務局長は日本人なのですね。 ですから、日本に甘くなってしまうという事だと思います。 MC:この報告書のもとの案の内容のひとつですけれど、 「今回津波の危険を過小評価していた」というふうに書くようです。 確かに、それは過小評価していたのだろうと、素人ながらも思いますが。 ただ、津波だけがでは悪かったのか、というふうに 読み取る事も出来ない、かと。 この辺りどうでしょう。 小出氏:もちろん、津波だけが悪かった訳ではなくて、 地震そのものも悪かった訳ですけれども、 IAEAとしては、というか今回は、津波が全て悪かった、と。 地震に関しては、たいした問題は無かった、というふうに言って、 日本の原子力発電所を救いたいのですね。 MC:津波のせいにしてしまえば、所謂政府が今言っている、 東電もそうですが、「想定外」と。 想定外の津波が来たのだから、ある種仕方がない、と言いたそうな、 そういう気配がそこに漂う訳ですね。 小出氏:そうです。 MC:という事は、IAEAが、津波の危険を過小評価している、という言葉に、 もし今回のこの事故の理由を、大きな柱を、ここに留めるならば、 将来の原発政策に大変影響が大きいのではないですか。 小出氏:もちろんです。 ですから、日本という、この世界一の地震国の中で、 原子力発電所がもう所構わず動いているという、その事が 私は問題だと思っている訳ですが、 IAEAとしては、それは問いたくないのです。 日本という国で、原子力をやらせたいと思っている訳ですし、 今回はとにかく津波のせいだった、という事だけに押し込めたい、 と彼らは思っています。 MC:近藤さん、浜岡原発もでは津波に対する備えさえすればOKだ、 という論理に繋がりそうですね。 近藤氏:その気配がありますよね、現実にね。 だから、津波の対策をこれだけやったって、 冷却のいろいろなカバーもこうやっているのだ、という事になると、 何年後かには、OKの可能性はある訳ですね。 MC:IAEAの一言には、そういういろいろな意味が込められているのですね。 もうひとつ、こんな事も言っています。 保安院の独立性を求めている訳ですよね。 これは、保安院というのは、政府の中の機関なのですね。 小出氏:そうですね。 もともと原子力を推進する、という行政組織というのは、 例えば経済産業省とか、原子力委員会とか、 そういう組織が原子力をずっと進めて維持するという、 そういう組織だった訳ですね。 では、その原子力が安全かどうかを監視するのは誰なのか、と言えば、 原子力安全委員会というのがあった訳ですけれども、 安全委員会というのは、単に何の力もない、顔だけという組織で、 では実際に誰がチェックをするかという事で、 日本ではその機能を負って来たのが、原子力安全保安院なのですが、 それもまた経済産業省のもとにある。 MC:経済産業省という事は、原発を進める考えの側にある。 そこがチェックをしている。 こんな事というのは、この先生がおっしゃるIAEAでさえが、 第三者機関になっていない、と言っている訳でしょう。 海外ではどうなのですか。 小出氏:もちろん、皆分離されている訳です。 近藤氏:日本だけですよね。 小出氏:こんな異常な姿はたぶん日本だけだと思います。 近藤氏:しかし、IAEAの同じ事、2007年にも同じ事を言っている訳ですよね。 (2007年とは、中越沖地震での柏崎刈羽原発の事) 小出氏:そうです。 近藤氏:それは、何ら斟酌せず来たというのも、相当なあれですね。 (あれって何・・・) 小出氏:そうですね。 MC:4年前に指摘があったのですか。 それから、もうひとつ伺いたいのは、放射能の測定の方法なのですが、 小出先生は放射能を計る事のとりわけ専門家でいらっしゃる訳ですけれども、 原子力安全委員会が言い出しました。 福島県内で、文部科学省と県が行っている放射線の監視、 モニタリングですね。 計っているのが、これも結果がばらつきがある、と。 現在の体制では、ほぼ限界だ、と。 どういう事なのですか。 小出氏:それは、文部科学省が言い出したのですか? MC:原子力安全委員会が言い出しているのです。 文部科学省と県が行っている、この数値がばらつきがある、 という事ですね。 で、どの機械を使うか、線量計でもばらつきがあるし、 (計測する)高さも違うし、ばらばらだと。 今頃こんな事を言われたら、私達はどの数値を信じたら良いのですか。 小出氏:そうですね。 例えば、私達はずっと1時間当たり何μSvというような測定の値を 聞いて来た訳ですけれども、 その値自身の測定方法が、それぞれ好き勝手にやっていたのですね。 ですから、ある場所では地上から1mの所で計っていた。 ある所では、地上から60mというような所で計っていたのもあったという事で、 もう比較する事自身が意味がない、という、 そういう数値をただただ並べていたという事なのですね。 MC:でも、その数値によって、原発近くの方々は避難するしない、 いろいろな人生の分かれ目を迎えていらっしゃる訳でしょう? 小出氏:そうですね。 ただ、既に避難をするかどうかという意味で言えば、 地表面に降り積もった放射性物質の測定結果というのが、 次々と解って来ています。 それで、一番問題なのは地表面にどれだけの放射性物質が 降り積もっているかという事であって、 ばらばらの測定方法で取って数字を出している、 1時間当たり何μSvという、そのものにあまり重きを置くべきではない、 と私は思います。 MC:毎日、新聞に地図が載っていますでしょう。 で、何μSvと出ていますね。 あれは、今年生がおっしゃった、あまりこれだけでは意味がないよ、 という数字になるのですか。 小出氏:単なる目安です。 MC:目安でしかない。 小出氏:はい。 MC:で、その地表、地面にどれだけ積っているかというのは、 私らはどうやって知るのですか。 小出氏:それは、文部科学省自身が米軍との共同で測定したという、 汚染の地図が既に公表されていますし、 たぶん、それよりもずっと細かいデータも彼らは持っていると思います。 MC:それをどんどん出して下さいよ。 小出氏:そうです。 ですから、例えば、周辺30kmを超えた所でも猛烈な汚染地帯があるという事で、 飯舘村という所が汚染が解った訳ですが、 それを一番先に調べたのは、私の同僚の今中哲二さんと その仲間の学者グループだったのですね。 彼らが飯舘村を本当に丹念に地表面の汚染を調べて実態を明らかにした。 そうすると、すぐ翌日に文科省が自分達も調べていた、と言って、 データを出して来るというような事を、これまでやって来た訳ですが、 たぶん文科省の方は沢山データを持っているはずですので、 しっかりとそれを公表して、どの市町村、どこの集落が、 強い汚染を受けているかという事を、しっかりと知らせて、 避難計画を立てなければいけないと思います。 MC:地上60mって、そんなばらつきがある、 ある種科学的でない数字で、人の人生を左右されては困る訳で、 は~、そういう事だったのですね。 心ある科学者の方達が被曝を覚悟で、本当にこの事故直後に、 福島県、第一原発近くに入られて、いろいろ調べられた、 その数字があって、私達が少しずつ真実に近付いているという事ですね。 小出氏:日本の国というのは、なかなか嫌なデータは出さないという、 どうもそういう国のようなのですね。 MC:今もってなのですね。 小出氏:はい。 MC:また明日もどうぞよろしくお願い致します。 小出氏:こちらこそ。 MC:京都大学原子炉実験所助教小出裕章先生に伺いました。
by Nixe_ll88
| 2011-06-02 18:02
| 政治・反戦
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