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FM797京都三条ラジオカフェ
4月8日の東日本大震災支援特別番組にて おなじみ京都大学原子炉実験所の小出裕章助教が出演された。 Ustreamアーカイブ 東日本大震災支援特別番組 福島原発事故による影響について 汚染水 海への流出は止まった? 原子炉の現状は? YouTube テキスト化したので簡単に紹介したい。 ※誤字脱字等全くチェックしていないため、ご了承ください。 ゲスト:京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生 パーソナリティ(以下「MC」):下村委津子(NPO環境市民) 2011年4月8日OA MC:東日本大震災特別番組、 この時間は福島原発の大事故による影響についてお届けして参ります。 担当はNPO法人環境市民の下村委津子です。 (午後)8時半からスタートしまして、この後、8時59分まで、 福島原発の情報をお届けしてまいります。 最初に今日の朝日新聞の夕刊に出ていた記事なんですけれども、 東京電力は実は3月(4月の誤り)の8日に福島第一原発1号機から3号機までの 地震直後の炉内データを持っていた、という事だったんですけれども、 その炉内データを公表しなかったという事で、 かなり遅れて公表したという事で、 この事に関しても、これから、なぜすぐに発表しなかったのかという疑問も 出てくるのではないかと思います。 参照: 「本震7時間後に燃料露出寸前の状態 福島第一原発1号機」2011年4月8日13時46分 MC:その福島原発の1号機なんですが、今朝からですね、 昨日の地震(4月7日23:32発生の震度6強を観測した巨大な余震)以来 という事になるかもしれませんけれども、 さまざまな動きがありました。 そこで今日も、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生に 電話とつなぎまして、お話しを伺います。 小出先生、こんばんは。 小出氏:こんばんは。 MC:よろしくお願いします。 小出氏:こちらこそ。 MC:福島原発の1号機なんですけれども、 いろいろな動きがあったようなんですが、 先生の所で解っている情報というのを教えて頂けるでしょうか。 小出氏:私が一番心配しているのは、 格納容器の中の放射線量が急増しました、昨日から今日にかけて。 激増と言っていい位に急激に増加しました。 という事は、格納容器の中に大量の放射性物質が、 また流れ込んできたという事を示しています。 それが一体どういう事なのか、という事をきっちりと考えなければいけないと思います。 MC:激増したというのは、今までの量とは比べられない位に 増えたという事なんですか。 小出氏:確か、2倍か3倍に増えたと。 MC:そうですか。 小出氏:はい。 MC:その事は今小出先生がおっしゃったように、 何を意味する、というか、 見えないなりに予測できる事はあるのでしょうか。 小出氏:はい。 細かく見ると、原子炉の中の温度が上がっていますし、 放射能の線量が増えたという格納容器の中の圧力も上がっています。 圧力が上がったというのは、窒素を入れたという事もあるのかもしれませんが、 放射線量が上がったという事、そして原子炉の中の温度が上がったという事は、 原子炉の中で何らかの異常があって、 放射性物質が格納容器の中に噴き出してきたのではないのか、 というのが私の推測です。 MC:原子炉の圧力が上がった、温度も上がっているという事なのですね。 小出氏:はい。 MC:先生がさっきおっしゃった窒素との関係と言うのは あまり考えられないのでしょうか。 小出氏:格納容器の中の圧力だけで言えば、関連があるかもしれませんが、 原子炉の中の温度も上がっていますので、 窒素とは関係ない現象が起きていると思います。 MC:もともと窒素を入れたのは、水素爆発を防ぐために入れた・・・ 小出氏:そうです。 MC:それはある程度、良い方向に行った・・・ 小出氏:そうではありません。 もともと格納容器の中というのは、本来は窒素だけだったのです。 それが、今度の事故によりまして、燃料の被覆管というものが壊れまして、 大量の水素が出てきてしまったのです。 もともと窒素だけの所に、水素が入って来てしまって、 また放射能もどんどん充満してきてしまったという事で、 一時期ベントという弁を開きまして、それを外に流さざるを得なくなったのです。 流したために今度は原子炉建屋という所に流れ込んで、 水素爆発を起こすという事になった訳です。 一度それで弁を開いて流してしまったので、良いはずだったのですけれども、 それでもそのままでは行かないで、 格納容器の中にはまだ水素が残っている訳ですし、 もうひとつ問題は、水素だけならまだいいのですが、 酸素がどうも格納容器の中に蓄積してきているようなのです。 MC:もともとが窒素だけだったのに、 どうして水素がっていうのは解っているんですか。 小出氏:はい。 水素は、燃料棒の被覆管が水と反応して発生するという化学反応があるのです。 大量の水素が出て来たという事は確実ですし、 格納容器の中に水素があるのはもう当然なのですけれども、 水素と窒素だけであれば爆発しないのです。 酸素がない限りは爆発しないのですけれども、 東京電力はどうやら酸素も含まれているというふうに考えたらしいのです。 では一体その酸素はどこから来たのかというと、 ひとつの理由は、水という物質、水素と酸素で出来ているのですが、 水が放射線に当たると水素と酸素に分解するという性質を持っています。 その酸素が格納容器の中に溜まって来ているという可能性がひとつです。 でも、その量だけであれば、私はたいした事はないと思っているのです。 それでも東京電力が酸素が増えてきて爆発するかもしれないと心配したというのは、 格納容器のどこかに損傷があって、外部から酸素が入って来ているという、 そういう事が起きているのかもしれないという事を私は心配しています。 そうなってしまうと、やはり格納容器の中の酸素をなるべく窒素に置き換えるという 作業をしなければいけませんし、 そのために、東京電力としては、これしかないという事で 窒素を入れる事に踏み切ったのだと思います。 ただし、そうすると、格納容器というのはある体積を持った容器な訳で、 そこに窒素を新たに入れるという事は、 それまでに入っていたガスを出すという事になります。 それまでに入っていたガスというのは、水素と、それから放射能です。 ですから、窒素を入れながら水素と一部酸素、そして一部の放射能を、 外に捨てるという作業に踏み切ったという事です。 そうせざると得ない状況に、東京電力が追いこまれているという事なのです。 MC:それによって、放射性物質が大量に外に出ていっているという事・・・ 小出氏:まだ外でどれだけ出たのかという事はよく解りません。 格納容器の内圧がかなり上がって来ていますので、 ある程度の閉じ込め機能は格納容器が保っているのだと思いますけれども、 でも、窒素をどんどん入れて行けば格納容器の内圧が高まって行きますので、 いずれは放出する事になると思います。 MC:放出させないともっと大変な事になるという先生のお話しだったんですよね。 小出氏:そうです。 MC:なるほど。 しかしですね、今先生がおっしゃったように、放射線量が2倍から3倍に増えたりとか、 或いは、圧力が高まっている、温度が高まっている、 何とか収めないといけないという事になるんだと思いますが、 手当の方法というのはあるのでしょうか。 小出氏:もちろん手当の方法はたったひとつだけで、 水を入れるという事です。 それは、もうずーっとやっていきた訳ですし、 これからもやらなければ行けないのですが、 残念ながら、2号機3号機に比べて、1号機は温度が下がらないのです。 何か理由があるのだろうと思いますし、 その理由が、ひょっとすると再臨界という現象が起きているのかもしれないと 私は心配しています。 MC:1号機の温度がずっと下がらずに、高止まりの状況であるというのは、 再臨界が起きているのかもしれない、と。 小出氏:はい。 MC:先生に以前お伺いした事があるんですが、再臨界というのは、 どういう事だったでしょうか。 小出氏:臨界というのは、ウランが核分裂をするという事を示す言葉です。 ですから、もともと原子力発電所というのは、ウランの核分裂をさせる訳ですから、 運転中はずーっと臨界です。 今度のように地震に襲われたりすると、 ウランの核分裂反応をまず止めなければいけませんので、 制御棒という棒を原子炉の中に入れて、 ウランの核分裂反応を止める訳です。 たぶん今回も制御棒の操作は曲がりなりにも行われて、 ウランの核分裂反応は止まったんだろうと私は推測しています。 ただウランの核分裂反応をずーっと続けながら電気を起こして来た訳ですから、 原子炉の中には大量の核分裂生成物という放射能が溜まっていたのです。 ですから、ウランの核分裂反応それ自体を止める事が出来たとしても、 放射能それ自体が出す熱というのは止められないのです。 それを、私たちは崩壊熱と呼ぶのですが、 その崩壊熱がずーっと出続けるという状態になってしまう訳です。 そのために原子炉というのは、どんな時でも水を掛けて冷やさなければいけないという、 そういう機械なのです。 ただし今回の事故の場合は、津波にも同時に襲われたために、 水を送るためのポンプが全く動かないという状況に追い込まれてしまって、 原子炉がどんどん温度が上がって行って壊れてしまったという、 そういう状態になっているのですね。 ですから、当初の問題は、核分裂生成物という放射能が出す熱を どうやって冷やすかという事で、 もうポンプが回らないのであれば、 とにかく外から水を入れて冷やそうという事をやってきた訳ですけれども、 それをやっている間に原子炉がどんどん壊れて行ってしまった訳です。 壊れて行ってしまうと、原子炉の内部の形が変わって行ってしまう訳ですね。 MC:原子炉の内部の形が変わる・・・ 小出氏:はい。 原子炉というのは、燃料棒という棒が多数立てて並べてあるという、 そういう形だと思って下さい。 1本1本の燃料棒は、直径1cmで長さが4mです。 細長い物干し竿だと思って頂ければいいのですけれども、 それが沢山林のように並べてある訳です。 その燃料棒という棒の中にウランを瀬戸物に焼き固めたペレットというものが入っていて、 それが核分裂をしていく訳ですけれども、 何か事故があって核分裂反応を止めたいと思うと その原子炉の中に、制御棒という棒を入れる、 中性子という素粒子を吸収しやすい物質なのですが、 それを入れてしまうとウランが食べる中性子が無くなって、 核分裂反応が停止するという仕組みなのです。 事故が起きた時に、制御棒はたぶん入ったのだと、私は思うのですが、 もともとは燃料棒が沢山並んでいる所に、 ある場所に、制御棒というものが入って行って核分裂反応を止めるのですけれども、 今回の場合には、燃料棒そのものがグズグズに壊れてしまっているのです。 東京電力によれば、1号炉では70%が壊れていると言っている訳ですが、 つまり、もう物干し竿の形がないのです。 ですから、中に入っていた瀬戸物も、もうボロボロになってあちこちに崩れ落ちている、 そういう状態なのです。 そうるすと、形があって制御棒が入っているなら、 ウランの核分裂反応を抑えられたけれども、 もう形が全然変わってしまっている場合には、 ウランの核分裂反応を止める事ができなくなる場合ができてくるのです。 そうなってしまうと、また核分裂反応が始まって熱が出てくるし、 核分裂生成物という放射能が新たにまたどんどんと生み出されて来てしまうという、 そういう状態を心配してきた訳です。 MC:TVで専門家という先生が出てきて解説されてた時に、 その先生は再臨界はないというふうな解説をされていて、 何故かというと、今おっしゃった臨界するためには 燃料棒が物凄く規則正しく並べられていて、 規則正しくしっかり臨界出来るような状態にあるから臨界出来るのであって、 それが万が一崩れてしまったら、条件が整わないので臨界しないのだ、 という説明をされていた記憶があるのです。 そういう事ではないのですね。 小出氏:ありません。 臨界というのは、もちろん形が正しい時には臨界になるという事だから、 原子炉が設計されているのですけれども、 形が崩れてしまって、むしろウランの燃料のペレットというものが、 一塊りになって集まるような状況になってしまうと、 むしろ臨界になりやすくなります。 MC:そうだったのですか。 先生がおっしゃったウランが食べる中性子なのですけれども、 中性子自体が検出されているという事なのですか。 小出氏:中性子の検出というのがですね、 本来は原子炉の中に中性子の検出器というのがあるはずなのですけれども、 それ自身のデータは少なくとも今は公表されていませんし、 ひょっとするともうその検出器が死んでいるかもしれないと思っています。 それで、中性子が検出されたというのは、時々報道があったのですが、 それは発電所の敷地の境界にある、 例えば正門の近くにある外部の中性子モニターが 時々何か普通とは違う中性子を検出したという事で、 あまり指標にはならないと私は思っています。 MC:中ではないので。 小出氏:中で直接計るデータが実は欲しいのですけれども、 残念ながらデータが公表されていないです。 MC:先生の推測によると、温度が下がらないのは、 再臨界というのが起こっている可能性があるかもしれない事で、という事なのですね 小出氏:おっしゃる通りです。 MC:予測されているのは、やはり外に出ている何かいろいろな放射性物質とか、 そういう事を鑑みて推測が可能になっているという事なのでしょうか。 小出氏:私は、数限られた情報の中で、それを合理的に説明するためには、 どういう現象が起きていると考えなければいけないかという、 そういう推測を今している訳です。 MC:そうすると全くもう1号機から目を離せないような状況という事ですよね。 小出氏:今はそうだと思います。 MC:そうですか。 これは、更にベントと言いますか、もっと圧力を抜いて、 爆発しないようにしていかなければならないという・・・ 小出氏:はい、それは必ずやると思います。 MC:その時に、今先生がおっしゃっているように、 再臨界が起こっていたとしたならば、更にもっと濃度が高いような 放射性物質が出てくるという事はないのですか。 小出氏:もちろん出てくる訳です。 格納容器の中の放射線量が2倍にも3倍にもなったという事は、 それだけ格納容器内に放射能の濃度が高いガスが充満しているという事ですから、 ベントをすれば高濃度の放射性物質が外に噴き出して来るという事になります。 MC:夕方の東京電力の記者発表を見ておりますと、 なぜ放射線量がそんなに高くなったのかという事に対して、 計器がおかしいのではないか、というような発言もあったようなのですが。 小出氏:(苦笑もらしつつ)そうなんですか。 MC:はい。 過小評価ではなく、私達は、先生がおっしゃるように、 もしそうであったならばという最悪のケースも想定した上で、 何か対応してもらいたいというふうに願うばかりなのですけれども、 どうも過小評価に陥っているとすると、 またこの先の対応が不安でならないのです。 小出氏:私も過小評価であって欲しいと思います。 東京電力の計器が壊れていて、 実際にはそんな事は起きていないという事を私は願います。 でも、そうではなかったとしたらば、やはり問題だろうと思いますので。 MC:これは、環境中とおっしゃいますか、 大気中に高濃度の放射性物質がまた更に排出されるという事になりますと、 また周りはかなり気を付けていかなければなりませんよね。 小出氏:そうですね。 MC:今日辺り、雨が関西でも降ったりしていたのですが、 関西地域への影響というは、今現在どのようにお考えになられていますか。 小出氏:それはもう風向きだけですし、 沖縄まで放射能が届いているという事は観測されていすし、 広島にも届いているという事は解っています。 ですから、もちろん関西にも届いているのです。 ただ、今現在は関西は福島から見れば離れているという事で、 皆さんはまだ安心しているという事なのでしょうけれども、 本当に私が恐れている様な最悪の事態になる時には、 私は、1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所というのと 同じような規模の事故になると思っているのですが、 そうすると、チェルノブイリ原子力発電所の事故の場合には、 発電所から700kmの彼方まで放射線の管理区域にしなければいけない 汚染地域が生じました。 たぶん関西もそれに呑みこまれる事になると思います。 ただ、それは風向きによりますので、 風向きが悪くならない事を祈るしかないと思います。 MC:そうですね。 先生に、日本は何故シミュレーションを発表しないのだろうというお話を聞いたその後、 今現在はもう気象庁の方が拡散予測というのを出すようになりましたよね。 これは、台湾の方でも出されるようになっていますし、 これもある程度私達は見つつ、行動する際には、 参考にしなければならないという事になるのですかね。 小出氏:そうですね。 ちゃんとしたデータをやはり出す方は出すし、 受け取る方もちゃんと受け取らなければいけない、 という、そういう事態だと思います。 (2)へ続く。 FM797京都三条ラジオカフェ:4/8 「福島第一原発1号機について」小出裕章氏(2)
by Nixe_ll88
| 2011-04-09 23:14
| 政治・反戦
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