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10月22日、NHKスペシャルにて、
100年の難問はなぜ解けたのか ~天才数学者 失踪の謎~ をやっていました。 数学の世界の話のため、本当は激しく難解な問題を解りやすく説明しており、 大変興味深く見ました。 「100年の難問」とされていたポアンカレ予想という問題がある。 これは、アンリ・ポアンカレ(1854-1912)というフランスの天才により 提示された予想である。 「単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である」 という何が何やら意味不明なもの。 番組ではこれを解りやすく説明。 つまり、もしロケットに長いロープをつけて地球から宇宙に向かって飛ばし、 そのロケットが宇宙をぐるりと回って地球に戻れたとする、 そして、そのロープを全て手繰り寄せる事が出来た時、 宇宙は概ね丸い。 もし宇宙に穴があったり、変形した形なら、 ロープが引っかかって手繰り寄せる事ができないからである。 この数学的難問は、位相幾何学(トポロジー)に拠っている。 トポロジーは、それまでの微分幾何学とは異なる新しい幾何学であり、 約250年の歴史しか持っていない。 1950年代、アメリカにて大流行し、種々の分野に応用された。 そういえば、20年前位にトポロジーという言葉を使うのがステイタスかのように、 そこらじゅうで使われていた気がする。 話を戻して、ポアンカレ予想は大変入りやすく、98%は簡単に解ける。 だが残り2%で躓いてしまい、多くの数学者を悩ませた。 最大の問題は、どうしても手繰り寄せるロープが絡まってしまう点にある。 高次元(3次元以上)から低次元に向けて解いた学者もいたが、 やはり3次元になるとロープが絡まる問題が解決出来ない。 別の学者は、宇宙の取りうる形を想定した。 そして、ついに8種類まで絞られる事を証明する。 ポアンカレ予想を説いた数学者は、2002年から2003年にかけてネット上に論文を掲載。 それらは4年をかけて検証され、誤謬のない事が証明された。 その数学者がロシアのグレゴリ・ペレリマンである。 宇宙の取りうる形が8種類である事を証明したと同時に、 丸い形の場合、ロープが手繰り寄せられる事を証明。 ペレリマンは、トポロジーではなく古いとみなされていた微積分と物理学を使用して解決した。 アメリカで解説した時、多くの数学者は、 ポアンカレ予想が証明された事に落胆し、 古い手法である微分幾何学を使用した事に落胆し、 解説を聞いても全く理解できなかった事に落胆したと言われている。 2006年、ペレリマンは数学会のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞するが、 辞退した上に姿を隠してしまった。 100万ドル(1億数千万円)の懸賞金も辞退。 サンクトペテルブルグの小さなアパートに引きこもり、 親しい人との接触も絶ってしまった。 その理由は誰にも解っていない。 番組では、高校時代の恩師がペレリマンに会おうとするが、 かろうじて電話で会話が出来ただけで対面は叶わなかった。 何故この番組が衝撃的だったのか・・・ 天才故の孤高の孤独を感じたからかもしれない。 名誉あるフィールズ賞受賞は後の地位を保証し、 懸賞金を手にしていれば悠々自適な生活を保証する。 金銭も名誉も全て投げ出して、30ドル程度のお金にも困る生活をしているという。 100年かけて誰も解けなかった難問に注いだエネルギーの大きさを意味しているだろう。 それと同時に解けてしまった事にもショックを受けているのかもしれない。 謎の失踪は、本人以外全く理解出来ない問題である。 以前は明るくいつも笑っていたというペレリマンの変貌、 誰でもがそこに何かを見出したいと思うだろう。 また数学者の思考の世界を覗く事が出来た事も興味深かった。 ひとつの問題に憑り付かれると、その問題が脳を支配してしまう。 頭の中であらゆる角度からあらゆる方法論でその問題に取り組むという事。 絶対音感を持つ人が、雑音でも何でも音階で聴こえるというが、 同じ状態なのだろうか? 普通の人が種々の雑念に没頭するように、 延々数学の世界が展開している。 想像しただけでも、楽しそうである。 たぶん彼らは楽しいのだと思う。 私の思考を介するとこんな低レベルなものになってしまうが、 ある種、不思議体験に相当する番組でした。 『ポアンカレ予想』 Wikipediaより 07.10.27現在
by Nixe_ll88
| 2007-10-27 18:29
| ひとりごと
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