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今週の木曜日、会社の朝礼時に順番に何かを発表する、
職教こと「職場の教養」の番がまわってきた。 「職場の教養」とは、倫理研究所なる宗教?法人が作成している小冊子で、 月ごと毎日何かしらの話題を載せており、 朝礼に使用するための教材とも言える。 前の職場でも工業団地組合から配られていたのでその存在は知っていた。 うちの会社では、3年程前から取り入れているらしい。 私は今回で4回目の発表となるが、いつもは職教とは関係のない話題を取り上げていた。 だって、あまりにも「ありえない」程甘い説教臭い内容だからだ。 だが困った。 今回は残業やら何やらで消耗し尽くし、自力で考える余裕がない。 そのため、仕方なく1月分をパラパラとめくっていた。 すると草間彌生という名が目に飛び込んできた。 高松宮殿下記念世界文化賞(第18回)絵画部門を受賞したとの事。 タイトル「命がけで描いてきた」。 締めの文章は、相変わらずつっこみを入れたくなるものなので無視をし、 彼女について語ろうと決めた。 知る人ぞ知る前衛芸術の最先端を行く草間女史、 その狂気と克服との戦いの一片でも紹介できればと思ったためである。 私が彼女を知ったのは小説である。 そのため暫く小説家だと思っていた(ちゃんと後書読んでなかったのね)。 数年前に新日曜美術館の展覧会の紹介コーナーでその名を目にし、 実は大変有名な芸術家だと改めて知った訳である。 何故彼女の本を買ったのか記憶はない。15年以上前の話。 ストーリーも殆ど忘れており、「強烈な話だった」という印象しか残っていなかった。 2年前だろうか、今の職場で働く前、父の看病疲れから一月寝込んだ。 その時に魔がさして読み返したものだから、吐き気をもよおしてしまった。 だが、その幻視の世界のすざましさに魅入られもした。 彼女は幼少時から統合失調症による幻覚や幻聴に悩まされ、 それから逃れるために幻覚や幻聴を描くようになる。 1957年に渡米、60年代は「前衛の女王」とも称される。 だがそれは、常に襲い来る狂気との戦いであり、 創作による狂気の昇華により、自己実現を図るという過酷な人生を歩んでいる。 特に有名なのが、「再現なく増殖しつづける水玉」のモチーフ。 小説でも、少女が何もない壁からチューリップが次から次へと現れ、 そこに手を置くと、手をも飲み込み増殖するのを見てしまう描写がある。 『クリストファー男娼窟』に収められている「離人カーテンの囚人」だ。 彼女の実体験がモデルになっていると思われる。 「職教」での発表時、あまりにすごすぎるのでその本を紹介する事はできなかった。 とにかく、「職場の教養」に書かれていた、 自分を磨きましょうみたいな締めの軽い文章が許せなかったのだ。 彼女にとって「命がけ」という言葉は、正に字義の通り壮絶なものであるからだ。 朝礼時は殆どメモを早口で読む、という どこまで伝わったのか解らない内容になってしまった。 そして今までの自分を振り返った時、決して「命がけ」ではなかったという反省が残る。 そして、「命がけ」で生きてみたい、と痛烈に感じた。
by Nixe_ll88
| 2007-01-27 18:10
| 文学・美術
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