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6月6日の「たね蒔きジャーナル」の
小出裕章助教による解説です。 メインキャスター(以下「MC」):水野晶子さん コメンテーター:平野幸夫・毎日新聞「ほっと兵庫」編集長 ※完全なテキスト化ではありません。 毎度の言い訳、誤字脱字等ご了承下さい。 ( )は補足等。 MC:小出さん、こんばんは。 小出氏:こんばんは。 MC:よろしくお願いします。 平野氏:こんばんは、よろしくお願いします。 小出氏:こちらこそ。 MC:まず、小出先生がずっと最初から問題にしてらっしゃった汚染水について 伺いたいと思います。 この福島第一原子力発電所で、溜まり続けている放射能汚染された水を どうするかというのが、大問題な訳ですけれども、 いよいよもう溢れ出すんだという、危機的なラインが迫っている、 それに合わせて何とか汚染水を綺麗にする、浄化する装置を、 急ピッチで作っていて、15日頃に完成する、 というふうに東電が言っています。 これはどの位期待して良いものでしょうか。 小出氏:期待したいですけれども、 これまでも東電がやって来た対策は期待通り動かなかったという事は 山ほどありますので、なかなか難しいかもしれないと思います。 MC:これは、「設計上は」という言葉が付いての数字なのですが、 上手く行きますと、上澄みの液の放射能の濃度が、 現在のものよりも1000分の1、あるいは1万分の1まで薄まるのだ、 という事なのだそうです。 1000分の1や1万分の1と聞くと、とてもとても薄まるような感じはするのですが、 もともとの濃度が高いのでしょうから、 1000分の1、1万分の1に薄まったとして、 どれ位危険なものなのでしょう。 小出氏:今水野さんがおっしゃった通り、もともとのは猛烈な濃度ですので、 仮に1000分の1、万分の1になったとして、 例えば環境に放出出来るかと言えば、もちろん出来ないと思います。 MC:環境に放出出来ないのですか! 小出氏:はい。 MC:私はもうこれで海に流れても良いものになるのだと、 勝手に思っておりました。 そういう濃度にまで薄まる訳ではないのですか。 小出氏:福島の発電所の敷地内の中にある放射性の汚染水というのも 物凄い汚染水から少しは汚染の低いものまでありますので、 一番低いものに関しては、万分の1になれば、 流しても良い濃度まで減るかもしれませんけれども、 問題は、物凄い濃度の汚染水を何とかしなければいけない という事な訳ですから、 そういうものを1000分の1、万分の1にしたとしても、 まだまだ環境に出せる濃度にはならないと思います。 MC:では、何分の1にしたら環境に・・・ 小出氏:10万分の1とか100万分の1にしなければ、 高濃度の汚染水に関しては、しないと環境には出せないと思います。 MC:そうしたシステムというのは、 例えば100万分の1に出来るようなシステムというのは、 ないのですか。 小出氏:ないです。 MC:よその場所にもないのですか。 小出氏:はい。 要するに、所謂技術的な処置をしようとしている訳ですけれども、 技術的な処置というのは、100あったものを100全部捕まえる事は 出来ないのです、もともと。 99を捕まえる、99.9を捕まえる、あるいは99.99を捕まえるという事は、 順番に出来ますけれども、 全部捕まえるという事はもちろん出来ませんし、 もともとが猛烈な高濃度である場合には、 捕まえれば捕まえるだけ装置の方がダメになって来てしまって、 性能が益々出なくなりますので、大変難しいと思います。 MC:装置も使えば、高濃度に汚染される訳ですよね。 小出氏:もちろん装置は汚染されますし、 たぶん今度はゼオライトとかバーミクライトとかいう、 粘土鉱物を使うのだと思いますけれども、 すぐに性能が劣化して使えなくなります。 MC:ゼオライトという軽石のような物質に放射性セシウムを吸い取らせる というシステムなのですよね。 1回、ゼオライトを使ったら、もうそのゼオライトはずっと使えない訳ですか。 小出氏:そうです。 ある所までセシウムを捕まえてしまいますと、 そのゼオライトはセシウムで一杯になってしまって、 もう使えなくなります。 MC:では、大量にこのシステムを使っては、次のシステム、次の装置と 大量に作り続けなければいけないのですね。 小出氏:次から次へと取り替えなければいけませんし、 ゼオライトに物凄く高濃度のセシウムが付きますので、 それに今度近付く事すら難しくなります。 MC:使い終わったこのシステムを、このゼオライトを替えようとすると、 これまた人が被曝する恐れがある訳ですね。 小出氏:そうです。 MC:恐れというか、被曝は致し方ない作業ですか。 小出氏:はい。 MC:ひとたびシステムが出来上がれば、どんどん浄化出来るのか、 なんて思ったのですけれども、 そんな甘いものではないのですね。 小出氏:残念ながら、そうではありません。 平野氏:先生、これをひとつの弥縫策(?)と思えるのですけれども、 先生がかねて指摘されている、所謂土木工学的にコンクリートブロックを 周囲に、もしくは地下水の汚染を防ぐためにも、 コンクリートブロックを築くべきだとおっしゃっていたような気がするのですけれども、 これも全く手付かずですよね。 これは、どんどん漏れていると思われる汚染水を止める対処の仕方としては 早くやるべきだと思うのですけれども、 どうでしょうかね。 小出氏:私がコンクリートの壁を作るべきだと言ったのは、 既に炉心がメルトダウンしてしまって地下に潜って行ってしまっているとすると、 もう冷却自身が出来ませんので、 今までのように外から水を入れて汚染水を溢れさせるというよりは、 もう壁を作って、地下水の汚染を防ぐという方が良いのではないかという、 そういう提案をしたのです。 ただ、その作業をするためにも、今ある汚染水を何とかしなくては いけないと思います。 この汚染水が溢れている状況では、どんな作業も難しいです。 MC:今、その汚染水については、浄化装置が間に合うかどうか、 という言い方をする人が多いと思うのですね。 溢れ出す前に間に合えば良いのだ、と。 それが15日頃でどうだろうか、という注目の仕方をしている方も多いと思うのですが、 小出先生の推測であれば、もう間に合う間に合わないの話ではなく、 既にもう目に見えない所で、汚染水は海や地下に流れて行っているという・・・ 小出氏:もう、それは確実です。 平野氏:それが一番心配ですね。 小出氏:もう、コンクリートって皆さんお解り頂けると思うけれども、 そこら中で割れていますので、今の福島でもそこら中から地下に流れて行って、 海にも行っていると思います。 もう何とか早く汚染水をタービン建屋、原子炉建屋、 あるいはトレンチ、立て坑、ピットという所から、 汲み出さなければ行けないのです。 MC:問題の論点はそこなのですよね。 小出氏:そうです。 MC:そういう事なのですね。 間違えてしまいますと、15日で間に合うのかしら、と、 そういう悠長な事ではないという事を、肝に銘じなければいけないのですね。 小出氏:はい。 MC:それから、ラジオネーム(省略)さんという方がメールを下さいました。 政府が、IAEA、国際原子力機関に報告するその文書の中で、 こういう事を言うようでございます。 「メルトダウンではなく、メルトスルーしていた」。 (小出氏、大失笑) MC:メルトダウンというのは炉心溶融というふうに訳されますよね。 メルトスルーは「原子炉貫通」という言うのですか。 小出氏:溶けて貫通してしまった、というのですね。 MC:これを今頃政府が、メルトダウンではなくメルトスルーしていたと 公式に認めるという事を、どう感じられますか。 小出氏:私は、もともとは東京電力の公表データを信用して、 炉心の半分はまだ形があるというふうに、 皆さんにお伝えして来たのですけれども、 5月12日以降は、東京電力自身が炉心が全部溶けてしまっていると 言いだしたのですね。 もう炉心が全部溶けてしまったという事を認めるのであれば、 要するにメルトダウンなのですが、 そうなれば原子炉圧力容器が溶ける事も 極めて高い確率で起こるでしょうし、 それが溶けてしまえば、原子炉格納容器と言っている もっとうすっぺらな容器も溶けて穴が開いてしまう、と。 それを、私達は、メルトスルーと言っているのです。 それを日本の政府も認めるようになったという事ですね。 MC:小出先生は、もうこのメルトスルーであろうという事を、 早くから恐れを指摘してらっしゃったのですが、 今回の報告書の中には、このように書かれているようです。 圧力容器の底にあるとされていた核燃料が、 そこから溶融した核燃料も漏れ出して、 格納容器の中に堆積している可能性がある。 だがら、圧力容器の底は貫いてしまった、 けれども、格納容器の中にはまだあるという表現だと思うのです。 これで良いのですか。 小出氏:それは、技術的には判断が非常に難し所で、 格納容器の中にどれだけ水が残っているかという事で、 格納容器の、所謂鋼鉄の底が抜けてしまうかどうかという事に 関係して来ると思います。 私は、でも水があったとしても、2800℃でなければ溶けないような ウランの燃料部分が圧力容器に穴を開けて、 格納容器の底に漏れているのだとすれば、 たぶん水はあっても、格納容器の底は溶けて穴が開く、 と私は思います。 MC:確か圧力容器の分厚さと格納容器の分厚さは 違うとおっしゃいましたよね。 小出氏:圧力容器は16cmありますし、 格納容器はたぶん3cm位だと思います。 MC:同じ鋼鉄で、厚さは格納容器の方が3cmと薄いのですよね。 小出氏:そうです。 MC:ここに、ちゃんと堆積して残っていると言われても、 それはどうなのだろう、という事ですね。 小出氏:たぶん、ないと思います、そういう状況は。 MC:そこの所を、まだ政府は認めていないのですよ。 そうしますと、認めるか認めないかで、また対処の策が変わるのではないかと 思うのですね。 それが、遅れに繋がりはしないかと思うのですが、 どうでしょう。 小出氏:もし、格納容器の底が抜けていないのだとすれば、 まだ循環式の冷却回路という可能性はあります。 MC:まだ冷やすシステムで冷やして行ける可能性がある。 小出氏:もちろん、循環式の冷却システムをこれから 作らなければいけないのですけれども、 でもまだそれを作れば、乗り越えられる可能性はあるのですが、 格納容器の底がもう抜けてしまっているというのであれば、 冷却回路はもう成り立ちません。 あとは、壁を作って、地下水の汚染を防ぐという、 それ以外にはたぶんもうないと思います。 平野氏;この堆積している核燃料の温度ですけれども、 これは前お伺いした事もあると思うのですが、 カサブタみたいになっている可能性がある訳ですよね。 この辺の温度というのは、推測が付かないのですか。 今の段階では。 小出氏:今の段階では、(推測が)付かないと思います。 要するに、計測器自身が殆ど死んでしまっていて、 正確な情報が得られないという状況になっている訳です。 炉心の水自身がどこまであるかすら、解らない。 で、格納容器の放射線量率というものも、 物凄い参考になるデータだったのですけれども、 もともとそれで東京電力は、炉心のどれだけが壊れているという事の 推定するための一番重要な根拠にして来て、 まだ7割しか壊れていない、あるいはまだ55%しか壊れていない と言っていたのですけれども、 一気に全部が壊れてしまったと言い出す訳ですし、 信頼出来る計測データが、もう既にないという状況に陥っている訳です。 今、格納容器がどういう状況になっているかというのは、 判断するのがとても難しいと思いますが、 私は、原子炉建屋の地下に大量の水が既に漏れて行ってしまっている事を 見ると、たぶん格納容器は底が抜けていると思います。 MC:過小評価すると後手後手に回るというのを、 私は小出先生のお話を聞いて知るようになっている訳ですが、 また明日もどうぞよろしくお願い致します。 小出氏:こちらこそ、よろしくお願いします。 平野氏:よろしくお願いします。 MC:京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺いました。
by Nixe_ll88
| 2011-06-08 11:52
| 政治・反戦
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