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5月6日に緊急特番としてUstream配信をされた
FM797ラジオカフェ「原発災害特別番組」に 京都大学原子炉実験所助教の小出裕章が 電話にて出演されたので紹介したい。 ゲスト:京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章氏 パーソナリティ(MC):下村委津子(NPO法人環境市民) ※簡単にテキスト化したので、参考にアップしたい。 例によって、誤字脱字、理解不足による誤った文章等 ご了承下さい。 ( )は補足。 MC:FM797原発災害特別番組、 この番組は主に福島原発に関する情報を NPO法人環境市民とNPO法人京都コミュニティ放送の 共同制作でお送り致します。 こんばんは、環境市民の下村委津子です。 今日は夜になってから大きなニュースが入ってきました。 まずはそのニュースからお伝え致します。 今日5月6日午後7時20分のNHKニュースの原稿が届いているのですけれども ご紹介したいと思います。 「菅総理大臣は6日夜緊急に記者会見し、 静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原子力発電所について 近い将来の発生が懸念されている東海地震の想定震源域の ほぼ真ん中に位置している事から、 現在運転している4号機と5号機を含む全ての原子炉の運転を停止するよう 中部電力に要請した事を明らかにしました」 (省略) というニュースが入って参りました。 今日はまずこのニュースの事からお話を伺って行こうと思います。 お電話に出て下さっているのは、京都大学原子炉実験所助教の 小出裕章先生です。 小出先生、こんばんは。 小出氏:こんばんは。 MC:よろしくお願い致します。 小出氏:こちらこそ、よろしくお願いします。 MC:まず最初に浜岡原発の停止を要請したというニュースが入って来たのですが、 先生はこれをお聞きになってどのように思われましたでしょうか。 小出氏:その事を取り上げれば、嬉しいです。 ただ私自身は、浜岡だけではなくて、日本中で動いている全ての原子力発電所を 即刻止めるべきだと言って来ましたので、漸く浜岡を止めるという一歩が 始まったのかな、と思います。 MC:そうですね。 まだ要請をした段階で、中部電力の社長の回答はまだ得られていないため、 安心はしきれない所ではあるのですけれども、 大きな動きになって行くといいな、という願いを持っていて下さっていると 思っていますけれども、解りました。 では、この後も引き続きあちこちにある原子力発電所が停止して行くような動きに 繋がって行くと本当にいいかなと思います。 小出氏:はい、本当にそうしたいと思います。 MC:さて、心配な福島原子力発電所の方の話なのですけれども、 先生と暫くお話をさせて頂いていないうちにいろいろな動きがありました。 それぞれの、1号機から5,6号機までのニュースがいろいろこの間出て参りましたので、 その状況と言いますか、状態がどのようになっているのかというのを 先生から解説して頂きたいと思うのですが。 小出氏:基本的には、私は変わっていないと思っています。 安定化、あるいは事故の収束に向かっているとも思いませんし、 破局に向かっているとも思いません。 破局を何とか食い止めようとして、東京電力あるいはその下請けの方を含めて 福島で作業をして下さっている方々が、被曝をしながら 何とか破局に至る道筋を防いでくれている、 という事がこの1週間の間続いているのですね。 少しでも早く安定化した所に行かせたいのですけれども それがなかなか出来ないという状態で苦しんでいる、 というふうに私には見えます。 MC:1号機で少しでも早く作業が進むようにという事で、 格納容器を水で満たす冠水措置というのが取られていて、 昨日5日午前11時過ぎに、作業員二人が原子炉建屋の中に入った という事だったのですが、 これもかなり危険な作業を伴っていたという事なのですよね。 小出氏:原子炉建屋の空気は物凄い放射能で汚れていますので、 その空気を吸い込んでしまうと内部被曝という被曝をしますので、 決して吸い込んではいけない、だから酸素ボンベを担いで全面マスクをして 体は宇宙服のような服を着て入るしかない、 という状況の中で作業をしてくれているのです。 MC:以前先生に伺いましたが、 かなり動きにくい状況の中での作業という事なのですね。 小出氏:そうです。 MC:空気の浄化なのですけれども、排気するための機器を入れるための まずダクトと言うのですか、ホースのような大きなもの、 それを設置したという事なのですね。 小出氏:そうですね。 MC:排気するというのは、外に出してまた戻すというような仕組みになっているのですが、 これはどのような仕組みになっているのですか。 小出氏:原子炉建屋という建物があって、そこの中の空気が物凄く汚れているのですね。 そこの外側にはタービン建屋やサービス建屋というのがある訳ですけれども そちらはまだ少しは綺麗という状態にある訳で、 比較の問題ですけれども、そこも凄い被曝環境なのですが、 まずそのタービン建屋あるいはサービス建屋という方から原子炉建屋に近付きまして、 そちらの方から原子炉建屋の中にダクトを突っ込んだのですね。 それで、原子炉建屋の中の空気を引き出して来まして、 所謂掃除機のフィルターのようなものを通して、 もう一度空気は原子炉建屋の中に戻すという、そういう作業をしたのです。 MC:それで、放射能で汚染された空気というのは、 少しは綺麗になるという事なのですか。 小出氏:そうですね。 そう東京電力も期待している訳ですし、私もそう期待しますし、 もし私が、東京電力の福島の所員であったのであれば、 かならずこの作業はやると思います。 MC:という事は、放射能で汚染されている空気というのは、 常に放射性物質が出続けているので、ずっと汚染され続ける訳ですよね。 小出氏:そうですよね。 MC:そうすると、空気を綺麗にする作業も、 ずっと延々やり続けなければならない、と。 小出氏:本当は、そうなのですが、そういう時間的な余裕はありませんから、 ある程度綺麗になった段階で、作業員の人達が中で作業をする という事しか出来ないと思います。 MC:それだけ長い期間待っていられない、という状況な訳ですね。 小出氏:要するに、原子炉建屋というものの中には、 格納容器というもうひとつ建物(容器)がある訳ですが、 格納容器にもう損傷がある事が既に解っていますので、 格納容器の中からどんどん放射性物質が漏れて来ているのですね、 原子炉建屋の中に。 ですから、原子炉建屋の中の空気を綺麗にするのはいいですけれども、 綺麗にした所でまた漏れて来ますので、 いくらやってもイタチごっごみたいな形になる訳です。 MC:そのフィルターで綺麗にしつつ、 綺麗と言っても全然綺麗ではないのですけれども、本当は、 少しはマシな状況を作りつつ、 機を見計らってもう少し作業を進めるために入って行ってしまうと。 小出氏:はい、もうそれしかやりようがないと思います。 MC:入って行くというのは、つまり先生が前に教えて下さった、 原子炉の水を循環させるための作業をするという事なのですか。 小出氏:そうです、その通りです。 MC:原子炉の水を循環させるためにも、 私には中が良く解っていないので素人的な言い方になるかもしれませんが、 更に困難な事が待っているのではないかな、と不安になってしまうのですが。 小出氏:ですから、物凄い汚染した原子炉の中の水というのがあるのですが、 それを循環させて、熱だけはどこかに捨てなければいけないという、 その作業をしようとしている訳ですね。 物凄い汚染した水を循環出来るように配管を設置しなければいけない訳ですから、 その現場に行く以外にないのです。 その作業は、ロボットでは出来ませんから、 生身の人間が物凄い汚染環境に行って配管を設置するなどの 大工事をしなければいけない、という状態にある訳です。 MC:それはさっき言った水で浸してしまう冠水措置をした後の 作業になるのでしょうか。 小出氏:たぶんそうではないと思います。 私は、冠水なんてやる必要はないと思っていますし、 やるとむしろ危険だと思っていますので、 冠水などはする必要がない、 ただ、循環出来る回路を作ればいい、と私は思っていて、 作業環境が許すのであれば一刻でも早くやった方が良いと思うのですが、 とにかく今の作業環境は悪過ぎるので、 何とかもっと改善しないといけないと思います。 MC:少しでも良くなる方法は、水を循環させて、ずっと恒に冷やせる状況を 作りだす事しかない、と先生はお話されていましたよね。 小出氏:はい。 MC:1号機は、そのような状況で、危険ながらも作業を進めて下さっている 作業員の方達がまだ人数的におられると考えればいい訳ですね。 小出氏:そうですね。 MC:1号機だけを、今見ていたら良いという訳ではなくて、 2号機~6号機まである訳ですけれども、 2号機の方は2号機の方でまた大量の水が漏れていたという所の作業を 何とか汚染された水を外に出さないようにというふうに進めていた訳ですよね。 これで、今度は海底の土壌から、しかも20km位離れた所からも、 高濃度の放射性物質が出たという事ですが、 これは、やはり離れた所まで流れて行って落ちた というふうに考えたらいいのでしょうか。 小出氏:そうですけれども、福島の発電所の敷地から今現在も どんどん汚染した排水が漏れているのです。 何か、ピットという所からの漏れを防いだから、もう大丈夫というふうに 皆さん思っているかもしれませんが、そんな事は全くありません。 ピットの目で見える滝のように流れ落ちていたその部分を止めたとしても、 他のトレンチとか立て坑とか全て同じコンクリート製の構造物ですので、 もうそこら中からじゃじゃ漏れになっていると、私は思います。 それは、空気中を滝のように落ちないから見えないけれども、 地下に浸み込む訳ですし、それはいずれ海に出て行くという形で 今現在も海にどんどん流れ出て行って、 海を汚染する、つまり海底の砂は汚れる、魚も汚れる、 という、それが進行している訳ですね、今。 MC:そうすると、以前教えて頂いた通り、 ざーっと流れている所は象徴的で、 そこを塞いだら何となく大丈夫なのではないかと見えてしまいますが、 実は見えない所でもっと沢山亀裂が入っていて漏れているはずだと。 小出氏:そうです、当然です。 MC:それが、今海で高い濃度となって検知されてしまっているという事・・・ 小出氏:はい、私の予測はそれです。 MC:4月29日に採取した2号機取水口の沖230mの海底の土から 1kg当たりセシウム137の濃度が通常の38000倍の87000Bqという数値で、 ヨウ素131の方は52000Bq、というのが出たという事なのですが、 これはTwitterなどを見ていますと、 本当にこの数字が正しいのかというようなむきもありましたけれども、 正しい数値だと文科省の方は発表していたようなのですね。 これもうちょっと信じられない数字ですね。 小出氏:はい、凄まじいですね。 チェルノブイリとう原子力発電所は、内陸にあって、 噴き出して来た放射能は直接地面を汚染した訳ですけれども、 今福島の場合は、海へ漏れて行っている、 海は膨大な水がある訳ですけれども、 それで薄めても尚それだけの汚染が生じるという事は、 とてつもないものを流しているという事の証明です。 MC:先生、ちょっと素人の質問ですが、 これが、海底から採取されたという事は、下にどんどん沈んで行って、 土の所が高濃度になったというふうに考えれば良いのですか。 小出氏:セシウムというのは、土をくっ付けやすいのです。 MC:土にくっ付きやすい。 小出氏:はい。 ですから、海水の中のセシウムは、海底の砂に接している部分では どんどん砂にくっ付いて行ってしまうという、 そういう性質を持っている放射性核種です。 MC:そうすると、これはその後移動して流れて行くというような事は 考えられる・・・ 小出氏:もちろん流れて行きます。 それはどんどん福島の敷地から今出て来ている訳ですから、 一部はまたくっ付きますし、くっ付かないものは外に流れて行く訳ですし、 一度くっ付いたものもまた剥がれて出て来ますので、 汚染をどんどん拡大する事になると思います。 MC:先生が世界中に拡がる問題なのだとおっしゃっていましたが、 世界の海に流れて行くという事を考えておかなければならない、 という事なのですね。 小出氏:そうです。 MC:2号機はそう言った状況がまだ続いているという事ですね。 そして、3号機の方も、この1週間で原子炉の温度が 30℃以上上昇しているというニュースが入って来ました。 これも、今また何故30℃以上上昇しているのかというのが、 不安になって来る話なのですが、 先生はこれをどうお考えになられますか。 小出氏:現象としては非常に単純だと思います。 温度というのは、発熱と除熱のバランスで決まります。 発熱は、崩壊熱というものは決まった発熱しかしませんから、 それを冷やすのに失敗して温度が上がったという事です。 MC:冷やすのに失敗した。 小出氏:つまり、今まで外から入れている水の量がある訳ですけれども、 その量が減ったのだと、私は思います。 MC:3号機へ注水していた水の量自体が減ったので・・・ 小出氏:温度が上がってしまった。 MC:(水の)量は水素爆発をしないために加減をしながら、 というその加減が難しいのだ、と先生に教えて頂いた事がありましたけれども、 その加減が上手く行かなかったと。 小出氏:そうですね。 要するに、東電福島は、今1号機2号機3号機を、 とにかく同時に壊さないように冷やそうとしている訳ですね。 ポンプはどこかの配管が繋がってしまっていて、 一方1号機に沢山流そうとすると、他の所が減ってしまうという、 そういう構造になっているというふうに、聞きました。 MC:1号機2号機3号機、どこが繋がっているかちょっと定かではありませんけれども、 どこか繋がっていて、一方に沢山すると他の号機の所が少なくなってという事で、 3号機の注水分が少なくなったために温度が上がったのではないかと 見られているという事ですね。 小出氏:はい。 MC:だから、これはバランスを見ながら 今後も同時進行で進めて行かないといけないという事ですね。 小出氏:そうです。 とっても難しい作業です。 つづき 5/6:FM797原発災害特別番組-小出裕章氏「現在の福島第一原発の状況について」(2)
by Nixe_ll88
| 2011-05-08 11:58
| 政治・反戦
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