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4月21日の「たね蒔きジャーナル」の
小出裕章助教による解説です。 メインキャスター(以下「MC」):千葉猛氏 コメンテーター:近藤伸二 毎日新聞論説委員 ※完全な文字起こしではありません。 また、誤字脱字等、ご了承下さい。 MC:小出さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。 小出氏:こちらこそ、よろしくお願いします。 MC:今日は毎日新聞論説委員の近藤伸二さんと一緒に お伺いして参ります。 近藤氏:よろしくお願いします。 小出氏:はい、近藤さん、よろしくお願いします。 MC:では、小出さん、まず今日はこれをお伺いしたいのですが、 以前1号機の中で再臨界が起きているのではないか、と。 その理由がクロル38という物質が検出されているからで、 その検出が間違いであって欲しいとおっしゃられていましたけれども、 今日の毎日新聞の朝刊によりますと、 東京電力は1号機タービン建屋の地下の水からクロル38、塩素38が 検出されたなどとする分析が、再評価の結果、誤りだったと判明した という記事がありました。 という事は、再臨界が起きている可能性は低くなったという事なのでしょうか。 小出氏:と、思います。 MC:再臨界が起きていないという事は、ひとまず少し安心出来るポイントが 増えたという事ですね。 小出氏:おっしゃる通りです。 ちょっとほっとしました。 MC:となると、外に出てくる放射性物質が少し少なくなる可能性があるのでしょうか。 小出氏:それは、ないと思います。 要するに、今まで通りの状態が、これからも続くという事になると思います。 MC:事態が大きく好転しているという訳ではない訳ですか。 小出氏:もちろん、全く好転していないですね。 むしろ困難が益々山積みになって来ているという事だと思います。 MC:それは、どうしてですか。 小出氏:要するに、もう手詰まりの状態になっている訳ですよね。 原子炉を冷やすという方法は、 相変わらず水を外から入れるという事しかない訳ですし、 入れれば水は溢れて来る、という事になる。 そうすると、汚染水が益々溜まるという事になる訳ですね。 それで、トレンチという部分はもともと水を漏らさないという構造には なっていませんので、どんどん今現在も海へ漏れて行っている訳ですが、 それを早く何とか集中廃棄物処理建屋のタンクの方へ移さなければいけません。 でも、そのためにも20何日もかかってしまうという、 大変な作業を、これから続けなければいけないという事になっている訳です。 MC:私達どうしても再臨界が起きていないという事で、 ちょっとほっとしてしまう感じがあったのですけれども・・・ 小出氏:それは私もほっとしました。 MC:それが必ずしも事態が好転しているという状況に繋がっているものではない、 という事ですね。 小出氏:そうです。 MC:もうひとつ、クロル38の事について、 東京電力は、半減期が短い物質を過大に評価していたから、 検出したと勘違いした、というふうに話しているそうなのですけれども、 これはどういう事なのでしょう。 小出氏:バカげた説明だと思います。 今東京電力がやっている測定方法というのは、 ゲルマニウム半導体検出器という検出器を使って、 ガンマー線を計っているはずなのですが、 その検出器で計る限り、どの放射性核種がどれだけあるかという事は、 厳密に解ります。 クロル38という、その放射性核種も、他の核種と間違うはずがないというような、 放射性核種です。 私もゲルマニウム半導体検出器を使っている人間ですけれども、 そういう人間から見れば、生のデータを見ればすぐにそれがあるのかないのかが 解るという、そういう放射性核種です。 ですから、何で、こんな今になって間違いだったと言い出すのかな、と それが私にとってはむしろ不思議です。 MC:それ位、専門家にとっては簡単に検出が確認できる物質という訳ですか。 小出氏:そうです。 私達はスペクトルと呼んでいますけれども、 そのスペクトルさえ見せて頂ければ、ただちに解ってしまうという、 そういうものなのですけれども、 今の今まで、20日以上ですかね、そのスペクトルすら出てこなかった、 未だに出ていない訳ですけれども、 本当なのか嘘なのか解らないままずっと来てしまって、 今になって間違えました、と東京電力が言っているのですね。 近藤氏:小出先生、ちょっとよろしいですか。 今のその先生のお話を伺っていますと、 今回の分析再評価というのも、本当のデータが出て、専門家が検討しないと、 本当に信用していいのか、という疑問が湧いて来るのですけれども、 この辺りはいかがなのでしょうか。 小出氏:そう思います。 ですから、生のデータというのは、一番私達のような人間にとっては重要な訳で、 東京電力が勝手にその生のデータを解釈して間違った結果を発表する、 というような今までのやり方は、何とか改めて頂けないものかな、と思います。 MC:もう少し、皆が解るように正確にデータを開示する事が必要だという事ですね。 小出氏:はい、そう思います。 この件で、世界中が踊らされた訳ですね。 私自身も誤りであって欲しいと願いながら、今日まで20何日も ひょっとしたら再臨界かもしれないと、思い込まされて来た訳ですし、 もっともっと正確なデータをじっかりと公表する必要があると思います。 MC:もうひとつ、今日大きなニュースで伝えられているものとして、 東京電力が、2号機に取水口付近から一時期海に流れ出した 高濃度の放射能汚染水の放射能の量が、 およそ4700テラBqと発表をしております。 この量を聞いて、小出さんはどう思われますか。 小出氏:物凄い量ですけれども、実はそんな量では済まないと私は思います。 MC:もっと出ている、と。 小出氏:もう遥かに出ている。 MC:それは何故ですか。 小出氏:この4700テラBqというのは、ピットという部分から滝のように流れ落ちていた その量だけを計算したものです。 ピットというのはコンクリートの構造物ですので、割れがあった訳ですね。 その割れ目から、たまたま目に見える形で滝のように落ちていた、 だから大変だという事で、それだけが問題にされた訳ですが、 コンクリートの構造物というなら、ピットだけではありません。 トレンチも皆コンクリートの構造物ですし、立て坑もそうです。 もともと水を漏れないようにするという構造になっていませんし、 水が漏れるのが当たり前です。 おまけに地震でそこら中がもう損傷しているはずだと思います。 たまたまピットの所だけが見えたので、 そこだけを今東京電力が問題にしている訳ですが、 現実の問題として言うなら、もうトレンチ・立て坑・ピットの目に見えない所で、 どんどん地下に漏れて行っているのだと思います。 それが、地下を通って見えない形で海に流れ込んで、 海の汚染を引き起こしているという事になっているはずだと、 私は推測します。 MC:この4700テラBqという数字も物凄いのですけれども、 これはピットという所から漏れていた分だけで、 全体で漏れている水が汚染された放射能量ではないという事ですね。 小出氏:そうです。 MC:それを計算するともっともっと多くの・・・ 小出氏:幾つだというふうに、私は数字を示せませんけれでも、 必ず今の東京電力の数字よりは多いと思います。 MC:今まで、海にこれだけの量の放射性物質が流れ出た事故の例というのは あったのでしょうか。 小出氏:事故ではなかったと思います。 イギリスのウィンズケール、セラフィールドという所に核燃料の再処理工場が あるのですが、そこで、核燃料の再処理をするという名目のもと、 計画的に流して来た放射能の量というのは、膨大です。 参照:セラフィールド from Wikipedia 今東京電力が言ったのよりはもっと多いのではという位、流して来ていまして、 そこのウィンズケールというのは、アイリッシュ海という対岸にアイルランドがある、 言ってみれば日本海のような内海に面しているのですが、 そこで大量の放射能を流して、アイリッシュ海が世界一汚染した海になっています。 アイルランドの国会も政府も度々イギリス政府に対して、 ウィンズケールの再処理工場を停止してくれ、という決議を上げていますけれども、 ウィンズケールの再処理工場は日本からの使用済みの核燃料を処理して、 お金儲けをしたいという事でずっと今日まで動いて来て、 海を汚染して来ました。 それと、かなり近いような汚染を既に福島から出しているという事になっています。 MC:そのウィンズケールでは、それだけの汚染物質を流して海にどんな影響が 出ているのですかね。 小出氏:ウィンズケールの全面の海域では、もちろん魚がいる訳ですけれども、 そういう魚の中には、1970年代80年代位には、 現在の日本の基準では到底許されないような汚染がずっと続いていました。 MC:とすると、漁業だとかにも大変な影響が出ている事態な訳ですね。 小出氏:そうです。 だからアイルランドの政府が停止を求める、とそういう事になってきた訳です。 MC:今回は、その汚染と同じ位の量だと思われるものが、 もう既に出てしまっているという事ですね。 小出氏:そうです。 MC:本当に基本的な事をお伺いしますけれども、 一度こうにやって環境に出てしまった放射性物質は、 回収というのはどうしても出来ないのですか。 小出氏:海というような所に流してしまった限りは、 出来ないと思います。 MC:とすると、汚染を防ぐためには、とにかく出すのを防ぐしかない訳ですよね。 小出氏:そうです。 いわゆる高濃度のものをそのまま閉じ込めるというのが、 一番良い方法です。 MC:そのまま閉じ込める、というのが? 小出氏:薄めてしまったらダメですので、高濃度のものを閉じ込める、 あるいは高濃度のものから廃液の処理で放射能を取り除く、 という事が、ベストとは言い難いけれども、少しでもマシなやり方です。 薄めるという事が最悪です。 MC:今は原子炉を冷やすために水を入れ続けているので、 汚染水でいわば薄めている状況になっている訳ですよね。 小出氏:もう、それしかないのですね、今は。 本当はやってはいけない事なのですけれども、 やらなければ原子炉が溶けてしまうという事で、 仕方なくやっている訳です。 MC:それが続く限りは、汚染水は海に流れ続ける危険性は止まらない訳で。 小出氏:危険性が止まらないというか、必ずそうなります。 MC:それを抑えるために、高濃度のままで抑えておくためには、 小出さんがおっしゃっている循環機能のある、 冷却水をリサイクルして冷やすというシステムを早く作らないといけない という事な訳ですね。 小出氏:そうです。 でも、そのためには今の汚染水を何とかしなければ、 作業すらが出来ませんね。 まずは移さなければいけないのですが、 それすらが物凄い大変だという状況に今追い込まれているのです。 MC:それから、明日の午前0時に、あと数時間ですけれども、 福島第一原発から半径20kmの範囲内を 強制力をもって立ち入りを禁止する警戒区域に指定されるという事なのですが、 これはやはり、小出先生としては、遅すぎたという感じでしょうか。 小出氏:この問題は、私はとても答え難いのです。 要するに、その地域に住んでいた人達にすれば、 自分が住んでいた場所に入れないという事になるのです。 でも放射能汚染が凄い訳ですから、 私としてはやはりそういう所に入って欲しくないとは思います。 でも自分が住んでいた所に入れない人達の、その重さというのを、 私はどうやって計ったらいいのか解らないのです。 ですから、私から見ると、自分でもどうしていいか解らない という事になってしまいます。 その事は、実は私は、チェルノブイリの原子力発電所の事故の後に 同じように思いました。 故郷を追われた人達が40万人もいた訳ですけれども、 そういう人達を強制避難させるという事の重さが とてつもないものだというふうに思いまして、 どうしていいのだろうか、とそれ以降ずっと悩み続けています。 むしろ、その事を思ったが故に、やはり原子力発電所というものを 建ててしまえば、いつかはこんな事になるので、 何とか早めに止めさせたいと思って来たのです。 でも、こうなってしまったのですね、また。 MC:解りました。 あと、もうひとつ気になる事が、毎日新聞の今日の朝刊に載っていまして、 原発で作業をしていらっしゃる方々の被曝の線量なのですが、 今250mSvまで引き上げられた特例措置が運用されているのですが、 これが作業員の方の放射線管理手帳に書かれていないケースがある、と。 で、250mSvを浴びた労働者に通常規則を当て嵌めてしまうと、 相当年数仕事の機会を奪う事になるので、全く別扱いで管理する、 というふうに放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターの方が、 記事によりますと語っていたりするのですが、 この事については、小出さんはどう思いますか。 小出氏:過酷な事ですね。 もともと日本人という人々は一年間に1mSvしか被曝をしてはいけないというのが、 法律なのですね。 私のように放射線と取り扱って給料を貰っている人間というのは、 少し我慢しろと言われて、私は1年間20mSvです。 でも今回のような事故を起こしてしまったら、 もうそんな事は到底言っていられない、と。 だからたった1回今回の事故に向き合うために100mSvまで我慢しなさい、 というのが法律だった訳ですけれども、 それすらがもう守る事が出来ないという事で250mSvまで 一辺に引き上げられたのですね。 でも、それをちゃんと適用しようとすると、 今度はもう作業が出来なくなってしまうから、手帳にも書かないし、 今後何年間仕事をしたいという事を考えたら、 もうそれを闇に葬るという事を今言っているという事なのですね。 本当にその放射線を取り扱う場所の仕事、 今回のような事故が起きた時の作業というのは、 過酷だな、と私は思います。 近藤氏:先生、放射線管理手帳で、規則で(放射線量を)管理するという事に なってますけれども、やはり現場ではなかなかキチンと管理出来ていない という実態があるのでしょうか。 小出氏:それは昔から言われていました。 近藤氏:それは今回だけではなく、昔からそういう実態があるという事ですね。 小出氏:下請け労働者と呼ばれるような人達がキチンと放射線の管理を されていないという事は、昔から何度も何度も言われて来た事です。 近藤氏:しかし、改竄されずにずっと・・・そしてこういう大きな事故を迎えた という事ですよね。 小出氏:そうです。 MC:はい、解りました。 小出さん、どうもありがとうございました。 小出氏:いいえ、ありがとうございました。 <個人的感想> 私自身、クロル38検出が誤りであったとする東電の説明は、 嘘の上塗りだと思っている。 いくら混乱しているからと言っても、 専門家がそのような単純な間違いを犯すだろうか。 また、元データを出さないという事は、他にも表に出せない 放射性核種が相当数出ているとしか考えられない。 真剣に疑念を晴らそうとするなら、公表するのが当然である。 また、以前から、原子炉建設やメンテナンス等、 相当いい加減な方法でやってきた事は確かである。 メンテのためサンヤなどから人員を集め、 被曝作業を何の防護もせず、被曝線量の管理もせず行わせ、 使い捨てにされてきた実態がある。 原子力は、上層部から下部まで、 利益を吸いつくす形で推進されてきた、 嘘で何重にも固めら、危険で、国民にとって不利益しか齎さない 最悪のシステムであると言えるだろう。
by Nixe_ll88
| 2011-04-22 14:08
| 政治・反戦
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