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2010年3月7日に、「全国有機農業の集い 神奈川大会」にて行われた
平久美子医師の公演の続きです。 記念公演「農薬と人体被害の実態(2)ネオニコチノイド系殺虫剤の使用と健康被害」その1 記念公演 農薬と人体被害の事態(2) ネオニコチノイド系殺虫剤の使用と健康被害 -主に心電図異常について 東京女子医大医療センター麻酔科 平久美子医師 * ネオニコチノイドによる健康被害 ネオニコチノイドは、タバコのニコチンを水に浸して飲むのと似た感じになる。 (ニコチンと似た水溶性の毒) 即ち、ネオニコチノイドは、ニコチン様アセチルコリン受容体と結合するため、 その受容体のある全ての場所に作用する可能性がある。 また、ニコチン同様容易に脳に浸透する。 胎児神経毒性、胎児に対する母体のネオニコチノイド残留物の摂取による影響が 危惧される。 『土と健康』2010年12月号p.9より また、ネオニコチノイドの中間代謝物の問題も大きい。 身体の中で分解される途中でできる物質の毒性である。 中間代謝物の中に、脊椎動物毒性が非常に強いものがある。 ニコチンは、人に毒性を発揮する。 イミダクロプリド(ネオニコチノイドの一種)は、人に対して毒性は弱いが、 中間代謝物であるデスニトロイミダクロプロドは、人に対してニコチン並みに 強い毒性を持つ。 同様チアクロプリド(ネオニコチノイドの一種)の中間代謝物である デスシアノチアクロプリドも、人に対して強力なものに変化する。 これらの中間代謝産物が、植物や人体内でどの位発生するか検証できておらず、 アセタミプリド(ネオニコチノイドの一種)に関しては、 中間代謝物があるかどうかも不明。 今後研究が必要。 人体におこる症状として、ひとつは「ニコチン様アセチルコリン受容体刺激症状」である。 自律神経に作用する毒物の特徴は、症状が多彩であるが、 ネオニコチノイドはそれ以上と言える。 例えば神経系の症状で言えば、鬱・多動・攻撃性・短期記憶障害などが挙げられる。 また「ニコチン様アセチルコリン受容体の機能修飾」という、 受容体が過敏になる事で出る症状がある。 有機リン等に同時に被曝すると、非常に強い症状を起こす。 これらは農薬として同時に使用される組み合わせである。 『土と健康』2010年12月号p.9より ネオニコチノイドは、アセチルコリン受容体を刺激するものであり、 中枢神経を刺激、交感神経・副交感神経共に刺激する。 一方有機リンは、直接アセチルコリン受容体に作用するのではなく、 アセチルコリン分解酵素(アセチルコリンエステラーゼ)を阻害、 特に慢性毒性では、中枢神経が抑制され、 急性毒性では、副交感神経刺激が主体となる。 両者の違いでは更に、 聴性脳幹反応検査にて大きな差があり、 瞳孔反応も異なる。 心拍に関して、有機リンはゆっくりになる事が多く、 ネオニコチノイドは非常に早くなったり逆に非常にゆっくりになったり 不整脈が出たりと様々。 『土と健康』2010年12月号p.9より ネオニコチノイドの健康障害報告について何件かある。 台湾でのイミダクロプリド自殺では、 不整脈と肺炎が直接の死亡原因。 インドでの農業従事者24歳男性の例では、 17.8%のイミダクロプリドの散布により、 激しい動悸と息苦しさ、筋肉細胞が壊れる横紋筋融解、意識障害と脱力が6日間継続。 家族によると、イミダクロプリドを使用した時期には毎年、 不安、興奮、怒りっぽい、意思疎通が困難などしばしば見られたという。 即ち、口から農薬を吸入している訳である。 ネオニコチノイドを大量に摂取すると、 脳、神経、心臓、筋肉などに異常を起こす。 * 心電図異常について 平医師が、青山美子医師と出会ったのは、 環境医学関連の学会だった。 平医師が中毒患者の心電図精密解析を行っている事を知った青山医師が、 2001年夏の有機リン空中散布後に具合が悪くなり受診した患者の 心電図を送ってきた。 その39人の心電図を調べた所、心電図異常が22人(56%)に見られた。 (※以下専門用語を省いた簡略な説明とします) それを論文として発表した所、かなりの反響があった。 有機リン系殺虫剤が心電図異常を起こす事は、1982年アメリカで報告されている。 2001年の患者達は、治療によって症状が改善している。 農薬撒布時期に不調を訴える患者達には様々な心電図異常がみられる事がわかる。 心電図異常の原因は、遺伝による先天的なものと、後天的なものがある。 後天的な原因のひとつが有機リン系殺虫剤である。 心電図精密解析が、有機リン系殺虫剤被曝の鋭敏なモニターになりうると感じた。 2004年5月から6月にかけて(群馬県で)、 松くい虫防除のアセタミプリドの地上撒布による集団被曝が発生。 この地区では前年まで有機リンが撒布されていた。 体調不良を訴えて青山医院を受診した78人の心電図を精密解析した所、 64人(82%)に何らかの異常が見られた。 自覚症状は多彩であり、10個は当たり前、40個もある患者もいた。 普通このような患者は、心の病か、 中年女性なら更年期障害をまず疑う。 だが現在では、「農薬中毒」を疑う必要がある。 翌年2005年の同時期のアセタミプリド撒布時、 体調不良を訴えて受診した患者は63人、最年少は3歳だった。 受診時期は撒布直後ではなく、 半日から数日たってから、胸が痛い、動悸がするなどと訴えて受診している。 心電図異常は、63人中57人(90%)、 様々な異常を示し、2004年と同じような割合だった。 群馬県では2006年から松くい虫防除のアセタミプリド撒布は中止され、 この時期の患者は激減した。 だが、8月になると、逆に激しい症状を訴え受診する患者が激増する。 2006年8月から8カ月間に受診した1,111人の症状と心電図を調べた。 年齢は、1歳から79歳、すべての年齢層にわたった。 症状は、記憶障害、ふるえ、胸部症状(胸痛、胸部苦悶、動悸)、 頭痛、腹痛、発熱など。 心電図所見は、頻脈173人、徐脈156人だった。 549人が発症前に、野菜、果物、緑茶を連続または大量に摂取していた。 患者はすべて非喫煙者である。 とりあえず果物、茶飲料を摂らないよう指導すると、 一ヶ月後には全員の症状がなくなった。 原因として、ネオニコチノイド、有機リン、カーバメート、 ピレスロイド、カフェインなどを考えた。 * 尿中ネオニコチノイドの代謝産物の検出 この大量の患者達の症状の主原因がネオニコチノイド中毒の場合、 どのように証明できるか考えた。 ネオニコチノイドは、生分解性が低いため(原文では「高い」となっていたものを訂正)、 体内に残留しやすく検出するのは難しい。 そこで注目したのが、6クロロニコチン酸(6CNA)。 6CNAは、アセタミプリド、イミダクロプリド、チアクロプリド、 ニテンピラム(どれもネオニコチノイド系)が分解され、 尿中から検出される安定した毒性のない物質であり、 これの農薬の被曝の指標になる。 2008年8~10月に受診された患者49人の同意を得て、 尿中6CNAを分析した。 49人中9人から6CNAを検出。 発症24時間以内に受診した17人中7人、 それ以降に受診した33人中2人から検出された。 発症初期に検出しやすいらしい。 発症初期に受診し6CNAが検出された患者達が主に訴えた症状は、 手のふるえ、頭痛、全身倦怠感、物忘れ、咳、動悸、発熱、 腹痛、胸痛、咽頭痛、筋痛、筋脱力の12項目、 平均8.3項目だった。 心電図異常も高率で見られた。 発症前に患者達が摂取した食品は、 ナシ、リンゴ、モモ、ブドウ、茶飲料、野菜だったが、 食品そのものの分析はまだ行っていない。 6CNAが検出された患者のうち典型的な経過を辿った例を挙げる。 30歳代女性、3ケ月前から毎日中国茶を1リットル近く飲み、 2か月前から頭痛や不眠などが起こり、 4日前にモモを食べ、前日にナシを食べて緑茶を飲み、 突然激しいめまいに見舞われ受診。 徐脈で、手足に筋肉がつる、指がふるえる、37.6度の発熱、 腹痛、頭痛、胸痛などの症状があった。 短期記憶障害もあり、発症当日は、前日前々日の食事内容を思い出せなかった。 臨床経過は、短期記憶障害は6週間持続、 腹痛は4週間、心電図異常は6週間持続した。 瞳孔反応検査の異常は6週間経ても残った。 原因として、ネオニコチノイド被曝が強く疑われた症例だ。 * まとめ ※転載 ■ネオニコチノイドの使用が増加している。 ■ネオニコチノイドは環境中に蓄積する可能性がある。 ■ネオニコチノイドによると思われる健康被害が、多数発生していて、 心電図上特有な所見が見られる。 以上、簡単にまとめてみました。 誤字脱字等気づいた時点で訂正します。
by Nixe_ll88
| 2011-03-01 22:02
| シックハウス・化学物質過敏症
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